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延床面積と建築面積の違いとは?建築主が理解しておくべき各種面積の考え方について解説します

公開日:2023.03.30 更新日:2023.04.10
延床面積と建築面積の違いとは?建築主が理解しておくべき各種面積の考え方について解説します

建築事業の用語には似たようなものが多く存在します。たとえば「延床面積と建築面積」なども、慣れない人にとっては区別しにくい言葉でしょう。しかしこれらの用語を正しく理解すれば、建築後のランニングコストがお得になることもあります。本記事では、面積の見方が分からない方に役立つ情報を紹介していきます。

把握すべき3つの面積

事業用建築を検討する際、重要なのは建物の建築面積を検討することです。とはいえ建築の世界にはさまざまな「面積」があるため、まずはそれぞれの面積の内容についてしっかり確認していきましょう。

建築面積

建築面積とは、建物を上空から見た際の面積のことです。一般に建物は上層より下層の方が広く作られることが多いため、1階部分の面積を建築面積としています。

なお、建築面積には各部屋の面積だけでなく、壁および柱の面積も合算されます。このため「建築面積=居住空間の面積」とはならないことに注意しましょう。

延床面積

延床面積とは、壁および柱の中心で囲まれた空間の床面積のことです。建築面積とは異なり、「延床面積=居住空間の面積」となります。

敷地面積

敷地面積(土地面積)とは、土地を上空から見た際の面積のことです。

敷地面積の計測には土地を平面的に測る「水平投影面積」が使用されるため、土地自体に傾斜が付いていたり凹凸があったりする場合は、敷地面積が実際の面積と異なることもあります。

延床面積に含まれない場所

建物内には、延床面積にカウントされない場所があります。事業用建築を行う際は、どこが延床面積に含まれ、どこが含まれないのかしっかり把握しておくようにしましょう。

ここでは延床面積に含まれない場所について、おおまかに解説します。

ロフト

一定条件に当てはまる場合、「ロフト」は延床面積に含まれません。条件とは具体的に以下のようなものです。

  • 天井高1.4メートル以下
  • ロフトの面積が室内の全体床面積に対して50%未満
  • 収納スペースがない
  • 電話およびテレビを設置するためのジャックがない
  • はしごを固定しない

これらの条件にすべて当てはまった場合、そのロフトは部屋ではなく「小屋裏収納」と見なされます。

吹き抜け

「吹き抜け」の上階も延床面積に含まれません。そもそも吹き抜けの上階部分には床が設置されていない(床がない)ため、面積にカウントされないのは想像しやすいのではないでしょうか。

外部階段

「外部階段(外階段)」も延床面積から除外されます。一般住宅で外階段を付けるケースはあまり多くありませんが、事業用建築では外階段の設置も珍しくないため注意が必要です。

バルコニー・テラス・屋外階段の建築面積

「バルコニー・テラス・ひさし」など建物の外側に張り出している部分は、「最先端部から1メートルの範囲」が延床面積に含まれません。

たとえば張り出しの長さが2.7メートルのひさしが設置されている場合、先端から1メートルを除く部分(=建物本体から1.7メートルの部分)まで延床面積に含まれます。

延床面積を重要視する2つの理由

延床面積は建物の容積率と固定資産税に大きく関係しています。ここからはそれぞれの内容について詳しく解説していきます。

容積率

容積率とは敷地面積に対する延床面積の割合のことで、「延床面積÷敷地面積×100」で計算します(単位は%)。たとえば敷地面積が100㎡で建物の延床面積が150㎡なら、容積率は次の通りです。

150㎡(延床面積)÷100㎡(敷地面積)×100=150%

容積率は都市計画法という法律に従って、市長や都道府県知事が決定します。建築主は、あらかじめ定められた容積率の範囲内で建物を建てなければなりません。言い換えると、延床面積の上限は容積率によって決まるということです。

容積率は「用途地域の区分」によって異なります。また同じ用途制限地域でも、以下のような制限や指定によって変わってきます。

  • 前面道路幅員制限
  • 斜線制限
  • 日影規制
  • 絶対高さ制限
  • 高度地区指定

隣り合った土地同士でも容積率が異なるケースがあるため、建築主は十分注意する必要があるでしょう。

なお建築予定地の容積率を知りたい場合は、市区町村の都市計画課などに問い合わせることをお勧めします。

固定資産税

固定資産税とは、所有する固定資産(土地や建物)に対してかかる税金のことです。固定資産税の金額は建築確認申請の際に提出された延床面積で計算されます。

固定資産税は土地や建物を所有し続ける限り永久に支払う「ランニングコスト」なので、1年あたりの金額は少額でも、何十年と積み重なることで膨大な金額差になることがあります。

このため延床面積の計算は慎重に行うべきでしょう。場合によってはロフト(天井高さ1.4メートル以下のもの)や吹き抜けなどを上手に取り入れて、延床面積を抑えるといったテクニックも必要です。

延べ床面積と間違えやすい「施工面積」

延床面積と間違えやすいのが「施工面積(施工床面積)」です。ここを取り違えると固定資産税にも大きな影響が出るため、違いをしっかり覚えてください。

まず施工面積とは、吹き抜けやバルコニーなども含めた面積です。つまり延床面積から除外される部分も含まれるため、必然的に延床面積よりも大きい数字になります(算出方法に基準やルールはないため、建設事業者によって数字が変わることもあります)。

建設事業者によっては建物を広く(大きく)見せるために施工面積を表示することもありますが、法律上の手続き、たとえば建築確認申請などの際に用いるのはあくまで延床面積の方です。

建築主は、設計者や建設事業者から提示された「面積」が延床面積なのか施工面積なのか、しっかり確認するようにしましょう。

延床面積と建築面積を正しく理解しよう

事業用建築物を建てる際は「延床面積」についての理解が欠かせません。本記事の内容が事業用建築物を建築される方の一助となれば幸いです。

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