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建設業許可の29種類について徹底解説!間違えやすいポイントについても分かりやすく説明します

公開日:2023.06.19 更新日:2023.06.19
建設業許可の29種類について徹底解説!間違えやすいポイントについても分かりやすく説明します

建設業許可の29種類について分かりやすく解説します。500万円以上の工事を請負う場合には「建設業許可」が必要であり5年ごとに更新を受ける必要があります。建設業許可申請が必要か判断を誤りやすいケースについても説明します。

建設業許可とは?

建設業を営もうとする者は、原則として国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受けなければなりません。

この許可は「建設業許可」と呼ばれ、特に500万円以上の建設工事を請け負う場合には必須条件となります。

建設業許可の審査基準

建設業許可はその規模や業態によりいくつかの種類がありますが、所定の審査を受けて一定の基準を満たす場合に与えられます。

ここでは、代表的な4つの基準の概要を説明します。

1.経営業務の管理責任者等の設置

  • 建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者がいること
  • 健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの社会保険に加入していること

2.専任技術者の設置

  • 一定の資格または経験を有した者(専任技術者)を設置すること

3.誠実性の担保

  • 法人若しくは個人、法人の役員等が請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするおそれがないこと

4.財産的基礎が一定額以上あること

  • 一般建設業・・・自己資本が500万円以上
  • 特定建設業・・・資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が2,000万円以上

参照:国土交通省HP 許可の要件

建設業許可の有効期限

建設業許可の有効期間は5年間です。年ごとに更新を受けなければ許可が失効してしまうことに注意が必要してください。

更新にあたっては、従前の許可の有効期間が満了する30日前までに申請をします。

建設業許可が失効したまま、必要な建設業許可を受けずに営業を行った場合、建設業法により「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」という罰則が適用されます。

【参考】建設業許可の根拠となる法令

建設業法第3条第1項

「建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、2以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。」

建設業許可の種類について解説

建設業許可は会社の営業範囲や工事の金額規模により、いくつかに分類されています。

さらに工事の種類により29種の許可種類があり、自社が受注する工事種類ごとに取得する必要があります。

大臣許可と知事許可

建設業許可には「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」があります。

建設業許可を取得しようとする企業の事業所が1県のみにある場合は、都道府県知事へ許可を申請します。都道府県庁の窓口を通じて都道府県知事に提出し、新規の許可手数料は9万円としている都道府県が多いようです。(詳細は本店所在地の行政機関へお問い合わせください)

事業所が複数の都道府県にある場合は国土交通大臣許可が必要になります。この場合は本店の所在地を管轄する地方整備局長等に提出することになり、申請手続きに必要な登録免許税は15万円とされています。

一般建設業と特定建設業

建設業許可は受注しようとする工事の代金により、「一般建設業(般)」と「特定建設業(特)」に分かれます。

特定建設業の許可が必要なケースとしては、発注者から直接請け負う1件の工事代金が4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上となる下請契約を締結する場合です。

それ以下の金額の工事契約しか締結しない場合は、一般建設業の許可で問題ありません。

一式工事と専門工事

建設業許可は受注しようとする工事種類ごとに取得が必要で、その種類は全部で29種類です。そのうち一式工事は建築と土木の2種類のみで、その他27の専門工事が建設業法で定められています。

建設業許可の29種類

建設業許可の29種類について、その工事内容と工事例についてまとめてみました。

建設工事の種類建設工事の内容建設工事の例
①土木一式工事総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。以下同じ。) 
②建築一式工事総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事 
③大工工事木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事木製設備を取付ける工事
大工工事、型枠工事、造作工事
④左官工事工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事
⑤とび・土工工事イ 足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物のクレーン等による運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事イ とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック据付け工事
ロ くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事ロ くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事
ハ 土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事ハ 土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事
ニ コンクリートにより工作物を築造する工事ニ コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事
ホ その他基礎的ないしは準備的工事ホ 地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事
⑥石工事石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事
⑦屋根工事瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事屋根ふき工事
⑧電気工事発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事
⑨管工事冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事
⑩タイル、れんが、ブロック工事れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張り)工事、タイル張り工事、築炉工事、スレート張り工事、サイディング工事
⑪鋼構造物工事形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門、水門等の門扉設置工事
⑫鉄筋工事棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事鉄筋加工組立て工事、鉄筋継手工事
⑬舗装工事道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工事、路盤築造工事
⑭しゅんせつ工事河川、港湾等の水底をしゆんせつする工事しゆんせつ工事
⑮板金工事金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事板金加工取付け工事、建築板金工事
⑯ガラス工事工作物にガラスを加工して取付ける工事ガラス加工取付け工事、ガラスフィルム工事
⑰塗装工事塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事
⑱防水工事アスファルト、モルタル、シーリング材等によつて防水を行う工事アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事
⑲内装仕上工事木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事
⑳機械器具設置工事機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事
㉑熱絶縁工事工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工 業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事
㉒電気通信工事有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事有線電気通信設備工事、無線電気通信設備工事、データ通信設備工事、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事
㉓造園工事整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事
㉔さく井工事さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事
㉕建具工事工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドアー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事
㉖水道施設工事上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事
㉗消防施設工事火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事
㉘清掃施設工事し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事
㉙解体工事工作物の解体を行う工事工作物解体工事

参照:国土交通省HP 業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)

建設業許可で間違えやすいポイント

建設業許可の取得および運用にあたって、間違えやすいポイントを解説します。

500万円未満の工事は建設業許可が不要?

建設業法第3条第1項に記述がある「政令で定める軽微な建設工事」は、次の3つと政令で定められています。

  1. 工事1件の請負代金の額が500万円に満たない工事
  2. 建築一式工事である場合にあつては、1,500万円に満たない工事
  3. 建築一式工事のうち延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事

建設業許可が不要な工事は、一般的に「500万円未満」と認識されているが、②③の条件もあることに注意しましょう。(主に個人経営の工務店や大工が建築する木造住宅を想定しています)

500万円未満の工事でも、「解体工事業登録」「電気工事業者登録」「浄化槽工事業者登録」の届出は必要です。自社の工事が該当する場合は、都道府県の所管部署に確認するようにしましょう。

工事請負金額の算定ルール

「政令で定める軽微な建設工事」や「特定建設業」の判断に用いられる工事請負金額については、次の3つのルールが示されています。

  1. 工事請負金額の算定は消費税込
    工事請負金額の算定にあたっては、10%の消費税を含めた金額で判断する
  2. 工事請負金額は合算する
    工事を分割して発注したとしても、時期や場所に関連性が強く認められるときはそれぞれの工事請負金額を合算した金額で判断する
  3. 施主支給材料の費用は加算する
    注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を工事請負金額に加えた金額で判断する

令和5年より特定建設業の条件が緩和

特定建設業の下請契約の締結に係る金額については、令和5年1月1日より、建築工事業の場合は6,000万円だった要件が7,000万円に、それ以外の場合は4,000万円だった要件が4,500万円に引き上げられていることに注意しましょう。

建設業許可を取得して工事受注の幅を広げましょう!

ここまで、建設業許可の種類と取得する基準などについて解説してきました。

自社の発展のためには、規模と工事種類に応じた建設業許可を取得することが必須です。許可の基準について判断を誤りやすいケースもありますので、この記事を参考にしていただきコンプライアンスにも務めましょう。

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