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入札指名停止になるとどうなる?指名停止されるケースと回避するポイントを解説!

公開日:2023.07.21 更新日:2023.07.21
入札指名停止になるとどうなる?指名停止されるケースと回避するポイントを解説!

官公庁などの入札において指名停止措置が取られることがあります。指名停止になると一定期間入札に参加できないばかりか、会社名と処分内容が公表されるため企業にとって大きなイメージダウンです。この記事では指名停止になるケースと、回避するための方法について解説します。

入札の指名停止措置とは?

国の機関や地方自治体などの官公庁が実施する「競争入札」において、参加者および落札者に何らかの違反があった際に取られるのが「指名停止措置」です。

指名停止措置が取られると、競争入札参加資格が一定期間停止となるなどのペナルティが課される場合があります。

指名停止になる原因

官公庁が競争入札において指名停止措置の基準を設ける際には、国土交通省が定めたガイドラインが基準となります。

その基準によると、指名停止措置を受ける主な原因は以下の通りです。

  1. 虚偽記載
  2. 祖雑工事
  3. 契約違反
  4. 事故の発生
  5. 贈賄
  6. 独占禁止法違反
  7. 入札妨害・談合
  8. 建設業法違反
  9. 不正行為

これらの既定の運用詳細については後述しますが、入札への参加にあたってはルールに抵触しないための十分な法的知識と配慮が必要とされます。

参考:営業停止処分との違い

入札指名停止と混同されやすい言葉として「営業停止処分」があります。

営業停止処分とは、指名停止措置よりも重い行政処分で、指定された期間にわたり一切の営業活動ができなくなるという企業の存続に関わる厳罰が課されます。

指名停止になるとどうなる?

官公庁の競争入札において指名停止措置を受けるとどのようなことが起きるでしょうか?

ここでは、指名停止を受けることのデメリットについて解説します。

指名停止理由と期間が公表される

指名停止措置を受けると、発注者から指示された一定の期間は競争入札に参加できなくなってしまいます。

さらに、処分を受けた会社名、指名停止措置の理由と指名停止期間が官公庁のHPや掲示物で公表されるうえに、処分の重大さによっては新聞やニュースなどのメディア媒体で報道されてしまうこともあるでしょう。

受注機会を損失する

官公庁の仕事が受注の大きなウエイトを占めている企業の場合は、競争入札に参加できないことによる受注機会の損失は大きな痛手です。

企業財務も悪化してしまい、経審の点数が下がって入札ランクも下げられてしまうなどの悪循環になる可能性もあります。

会社の社会的信用が失墜する

官公庁入札の指名停止処分を受けても、民間工事の受注をすることは可能です。

しかし、入札指名停止処分が公表されることによる社会的信用の失墜や企業のイメージダウンは想像以上に大きく、民間分野でも取引を敬遠されてしまう危険性があります。

指名停止を避けるためのポイント

指名停止措置のリスクを避けるためには、企業としてどのような対策が必要でしょうか?

ここでは3つのポイントについて説明します。

社内コンプライアンスの徹底

指名停止処分を受ける最も多い事例は、従業員に法令の知識が無く知らないうちに基準に抵触してしまうケースです。

入札や官公庁ルールに対応するために社内で勉強会を開催したり、入札対応マニュアルを作成し読み合わせをするなど社内コンプライアンス体制を徹底させましょう。

徹底した安全管理

入札指名停止処分の中でも、特に指名停止期間が長くなるのは工事中の事故により第三者被害を発生させた場合です。

第三者事故は社会的な影響も大きく、企業が受けるダメージは指名停止処分に留まらないことでしょう。

利益を生み出すものではありませんが、工事現場周囲の仮囲いや交通誘導を徹底するなどの周囲への安全配慮を欠かさないようにしましょう。

社内品質管理体制の構築

設計や仕様書の基準に満たない粗雑で低品質な成果物の納品も指名停止の対象となります。

実務担当者とは別チームによる、社内の第三者による自主検査体制を構築して品質の向上に努めましょう。

指名停止になる基準と指名停止期間

指名停止措置を受けるデメリットなどについて説明してきましたが、ここでは国土交通省が定める指名停止措置の運用基準を、事由ごとに整理して具体的に解説します。

指名停止となるのは大きく分けて2つで、発注工事で事故や品質不良を発生させてしまった場合と、入札において談合などの不正行為を行ったり法令に抵触した場合です。

事故等に基づく措置基準

①虚偽記載

競争入札参加資格を取得するにあたって、虚偽の記載をして申請した場合などが該当します。

指名停止事由指名停止措置の要件指名停止期間
虚偽記載部局の発注する工事の請負契約に係る一般競争及び指名競争において、競争参加資格確認申請書、競争参加資格確認資料その他の入札前の調査資料に虚偽 の記載をし、工事の請負契約の相手方として不適当で あると認められるとき1カ月以上6カ月以内

②祖雑工事

落札した工事で、過失(故意ではないこと)により既定の品質を満たさなかった場合が該当します。

指名停止事由指名停止措置の要件指名停止期間
過失による粗雑工事請負契約に係る工事の施工に当たり、過失により工事を粗雑にしたと認められるとき(瑕疵が軽微であると認められるときを除く)1カ月以上6カ月以内
一般工事の施工に当たり、過失により工事を粗雑にした場合において、瑕疵が重大であると認められるとき1カ月以上3カ月以内

③契約違反

落札した工事で、工期の遅延や指定材料・工法の不選定など契約内容に違反した場合です。

指名停止期間指名停止措置の要件指名停止期間
契約違反受注工事の施工に当たり、契約に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき2週間以上4カ月以内

④事故の発生

工事の施工にあたって安全管理の不徹底により人身事故を発生させた場合です。相手方が工事と無関係な第三者か工事関係者かによって指名停止期間が違います。

指名停止事由指名停止措置の要件指名停止期間
安全管理措置の不適切により生じた公衆損害事故部局発注工事の施工に当たり、安全管理の措置が不適切であったため、公衆に死亡者若しくは負傷者を生じさせ、又は損害(軽微なものを除く)を与えたと認められるとき1カ月以上6カ月以内
一般工事の施工に当たり、安全管理の措置が不適切であったため、公衆に死亡者若しくは負傷者を生じさせ、又は損害を与えた場合において、当該事故が重大であると認められるとき1カ月以上3カ月以内
安全管理措置の不適切により生じた工事関係者事故部局発注工事の施工に当たり、安全管理の措置が不適切であったため、工事関係者に死亡者若しくは負傷者を生じさせたと認められるとき2週間以上4カ月以内
一般工事の施工に当たり、安全管理の措置が不適切であったため、工事関係者に死亡者若しくは負傷者を生じさせた場合において、当該事故が重大であると認められるとき2週間以上2カ月以内

H3:贈賄及び不正行為に基づく措置基準

⑤贈賄

工事の受注にあたって官公庁の担当者に贈賄行為を行ったことが発覚し、逮捕もしくは起訴された場合が該当します。

指名停止事由指名停止措置の要件指名停止期間
贈賄次のイ、ロ又はハに掲げる者が当該部局の職員に対して行った贈賄の容疑により逮捕され、又は逮捕を経ないで公訴を提起されたとき逮捕または公訴を知った日から
イ 有資格業者である個人又は有資格業者である法人の代表権を有する役員(代表権を有すると認めるべき肩書を付した役員を含む。以下「代表役員等」と総称する)4カ月以上12カ月以内
ロ 有資格業者の役員又はその支店若しくは営業所(常時工事の請負契約を締結する事務所をいう)を代表する者でイに掲げる者以外のもの(以下「一般役員等」という)3カ月以上9カ月以内
ハ 有資格業者の使用人でロに掲げる者以外のもの(以下「使用人」という)2カ月以上6カ月以内
次のイ、ロ又はハに掲げる者が当該部局の職員以外の当該機関職員に対して行った贈賄の容疑により逮捕され、又は逮捕を経ないで公訴を提訴されたとき逮捕または公訴を知った日から
イ 代表役員等4カ月以上12カ月以内
ロ 一般役員等2カ月以上6カ月以内
ハ 使用人1カ月以上3カ月以内
次のイ、ロ又はハに掲げる者が当該部局の所管する区域内の他の公共機関の職員に対して行った贈賄の容疑により逮捕され、又は逮捕を経ないで公訴を提起されたとき 
イ 代表役員等3カ月以上9カ月以内
ロ 一般役員等2カ月以上6カ月以内
ハ 使用人1カ月以上3カ月以内
次のイ又はロに掲げる者が当該部局の所管する区域外の他の公共機関の職員に対して行った贈賄の容疑により逮捕され、又は逮捕を経ないで公訴を提起されたとき 
イ 代表役員等3カ月以上9カ月以内
ロ 一般役員等1カ月以上3カ月以内

⑥独占禁止法違反

業者間や業界団体などでカルテルを結ぶなど、独占禁止法に抵触する事実が確認された場合が該当します。

指名停止事由指名停止措置の要件指名停止期間
独占禁止法違反行為当該部局が所管する区域内において、業務に関し独占禁止法第3条又は第8条第1項第1号に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき当該認定をした日から2カ月以上9カ月以内
次のイ又はロに掲げる者が締結した請負契約に係る工事に関し、独占禁止法第3条又は第8条第1項第1号に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき当該認定をした日から
イ 当該部局の所属担当者3カ月以上12カ月以内
ロ 当該部局の所属担当者以外の当該機関の所属担当者2カ月以上9カ月以内
当該部局が所管する区域外において、他の公共機関の職員が締結した請負契約に係る工事に関し、代表役員等又は一般役員等が、独占禁止法第3条又は第8条第1項第1号に違反し、刑事告発を受けたとき刑事告発を知った日から1カ月以上9カ月以内

⑦入札妨害・談合

他の事業者が入札に参加することを妨害したり、入札参加者同士で談合を行い逮捕もしくは起訴された場合が該当します。

指名停止事由指名停止措置の要件指名停止期間
競売入札妨害又は談合次のイ又はロに掲げる者が締結した請負契約に係る工事に関し、一般役員等又は使用人(使用人においてはイに掲げる場合に限る。)が競売入札妨害又は談合の容疑により逮捕され、又は逮捕を経ないで公訴を提起されたとき逮捕または公訴を知った日から
イ 当該部局の所管する区域内の他の公共機関の職員 2カ月以上12カ月以内
ロ 当該部局の所管する区域外の他の公共機関の職員1カ月以上12カ月以内
次のイ又はロに掲げる者が締結した請負契約に係る工事に関し、一般役員等又は使用人が競売入札妨害又は談合の容疑により逮捕され、又は逮捕を経ないで公訴を提起されたとき逮捕または公訴を知った日から
イ 当該部局の所属担当者3カ月以上12カ月以内
ロ 当該部局の所属担当者以外の当該機関の所属担当者2カ月以上12カ月以内
他の公共機関の職員が締結した請負契約に係る工事に関し、代表役員等が競売入札妨害又は談合の容疑により逮捕され、又は逮捕を経ないで公訴を提起されたとき逮捕または公訴を知った日から3カ月以上12カ月以内
当該機関の所属担当者が締結した請負契約に係る工事に関し、代表役員等が競売入札妨害又は談合の容疑により逮捕され、又は逮捕を経ないで公訴を提起されたとき逮捕または公訴を知った日から4カ月以上12カ月以内

⑧建設業法違反

無許可での工事や技術者等の配置規定を守らないなど、事業者が建設業法に違反した場合です。

指名停止事由指名停止措置の要件指名停止期間
建設業法違反行為 当該部局が所管する区域内において、建設業法の規定に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき当該認定をした日から1カ月以上9カ月以内
次のイ又はロに掲げる者が締結した請負契約に係る工事に関し、建設業法の規定に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき当該認定をした日から
イ 当該部局の所属担当者2カ月以上9カ月以内
ロ 当該部局の所属担当者以外の当該機関の所属担当者1カ月以上9カ月以内

⑨不正行為

その他、事業者が不正な行為をしたり、事業者の代表役員が何らかの犯罪を起こして刑事罰を受けた場合などが該当します。

指名停止事由指名停止措置の要件指名停止期間
不正又は不誠実な行為前各号に掲げる場合のほか、業務に関し不正又は不誠実な行為をし、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき当該認定をした日から1カ月以上9カ月以内
前各号に掲げる場合のほか、代表役員等が禁こ以上の刑に当たる犯罪の容疑により公訴を提起され、又は禁こ以上の刑若しくは刑法の規定による罰金刑を宣告され、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき当該認定をした日から1カ月以上9カ月以内

社内コンプライアンスと安全管理を徹底して指名停止を避けましょう

入札において指名停止処分を受けるケースとそのデメリットについて解説してきました。

指名停止を受けると、官公庁入札に一定期間参加できないという実利的なダメージよりも、公表されることによる企業イメージの悪化のほうが企業にとっては大きな問題となる可能性があります。

社内コンプライアンスと工事現場の安全管理を徹底して、指名停止リスクの回避に務めましょう。

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