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建設業における人手不足とは?人手不足の原因から解決策まで徹底解説

公開日:2023.04.18 更新日:2023.06.19
建設業における人手不足とは?人手不足の原因から解決策まで徹底解説

建設業では人手不足が深刻化しています。業界ならではの問題に加え、2025年に開催される万博などの大規模プロジェクトなどの建設ニーズも人手不足に拍車をかけています。本記事では、建設業における人手不足の原因から解決策などが分からない方に役立つ情報を紹介していきます。

建設業における人手不足の原因について

近年、建設業界では人手不足が深刻な問題となっています。その背景にはいくつもの理由が複雑に絡み合っているため、人手不足の解消は非常に困難な課題と考えられています。ここでは建設業における人手不足の原因を大きく2つの要素に分けて解説します。

少子高齢化による人口減少

ひとつ目の要因は「少子高齢化」です。日本では1990年代から、子どもの数が高齢者人口を下回る少子高齢化の傾向が進んでいます。建設業の労働者のうち、若年層の労働者(おおむね29歳以下)は少なく、逆に55歳以上の高年層は高い割合を占めているのが現状です。

若い労働力やその予備軍が減る一方、すでにいる労働者が高齢にともない次々に現場を離れることで、建設業界では純粋な労働力不足が続いているだけでなく、技術やノウハウの継承も困難になりつつあります。

労働環境の過酷さ

建設業界は、天候や季節によって仕事量が大きく変動します。このため他の業種と比べ、比較的不安定な職場環境といえるでしょう。また、現場での作業は体力を必要とし、労働時間も長いことが一般的です。建設業に「3K(きつい、汚い、危険)」というイメージを持つ人が多いのも、このためです。

こうした理由から、建設業は特に若者にとってあまり魅力的な業界ではありません。新卒をはじめとする求職者のなかにも、建設業界を避ける人は少なくないのが現状です。

高度な技術や知識が必要

建設業界には、建築設計や構造解析、建設工事の進行管理など、高度な技術や知識が必要な職種があります。求人数に対して適格な人材が不足しているため、業界全体の人手不足が続いているのです。

また近年では技術革新の進展に伴い、新たな技術や知識を習得することが求められています。つまり、すでに建設業で働いている労働者にもスキルアップが必要となるため、人手不足の解消は容易ではありません。

建設業における人手不足の解決策

建設業における人手不足を解決するためには、業界をあげてさまざまな取り組みを行う必要があります。ここでは代表的な取り組みの例を、いくつか紹介します。

若手の育成

すでに説明したとおり建設業界では高齢化や技術の進歩によって、労働力不足が慢性化しています。このため次世代を担う「若手の育成」が欠かせません。たとえば若手技術者を主な対象として研修制度の整備や、若手技術者が活躍できる場の提供などが挙げられます。

すでに業界の一部では若手教育に積極的に取り組む企業も登場しており、こうした動きが業界全体に広がっていくことが期待されています。

女性や外国人の採用促進

建設業界の労働者人口を増やすため、女性や外国人が働きやすい職場環境の整備や、働き方の柔軟化が求められています。たとえば女性にとって働きやすい環境をつくるには、職場のトイレや更衣室などの整備、働き方の選択肢の拡大といった工夫が必要です。

同じことは外国人労働者の受け入れについてもいえますが、こちらの方は特に、就労ビザの発給手続きの簡素化や、日本語の学習支援など、国や他業種を巻き込んだ大がかりな取り組みが欠かせません。

労働環境の改善

性別や人種・国籍に関係なく、すべての労働者に対する労働環境の改善も重要です。これには労働時間の短縮や、休暇の取得の促進、安全衛生面の整備などが含まれます。

また最新のIT技術やICT技術、たとえば「BIM」の導入や「IoT」「AI」などの活用、スマートフォンやタブレット端末の利用などにより、現場の効率化や作業の省力化を進めることができます。

働き方改革の推進

労働環境の改善とも関係しますが、建設業界における働き方改革の推進も必要です。たとえばテレワークの導入や業務のフレキシブル化、副業の認可などが挙げられます。また、従業員のワークライフバランスの確保や、給与制度の改善なども重要です。

上記のような取り組みを進めることにより、建設業における人手不足は解消に向かうと期待されます。しかし取り組みを進めるためには個々の企業が努力するだけでなく、政府や業界団体などとも協力して、長期的な視野での取り組みが必要でしょう。

建設業における人手不足解消に向けた国の取り組み

国は建設業における人手不足解消に向けて、主に以下のような取り組みを進めています。

新たな人材の育成支援

まず、若手や女性、外国人など多様な人材の育成支援に力を入れています。たとえば、建設業界に興味を持っている若者や女性に対して、業界についての情報提供や研修の支援などを行うといった取り組みです。また、外国人技能実習生の受け入れや就労支援なども行っています。

外国人労働者の受け入れ支援

外国人労働者の受け入れ支援も進めています。2019年には従来の技能実習制度に加えて「特定技能」と呼ばれる在留資格制度が新設され、建設業の労働者として外国人をより受け入れやすくなりました。

労働環境の改善支援

建設業界における労働環境の改善支援も進めています。たとえば補助金制度などを通して、各企業における働き方改革の促進や、労働時間の短縮、安全衛生面の整備を支援しています。建設業界における健康経営の推進や、働き手の育成支援なども重要な取り組みのひとつです。

人材流動化の促進

建設業界における人材流動化の促進も進めています。具体的には、建設業界に限らず、他の業界への転職支援や、業界内でのキャリアアップ支援を行っています。

これらの取り組みを進めることにより、建設業界における人手不足の解消が期待されます。国は建設業界の発展と共に、労働者の待遇改善や働きやすい職場環境の整備にも力を入れており、各企業や業界団体と連携することで、建設業界の持続的な発展につながると期待されています。

建設業における人手不足を解消しよう

建設業の人手不足には、さまざまな要因が関係しています。一方で企業単位での取り組みには限界があり、また短期的な取り組みでは長期的な効果もあまり期待できません。

今回は人手不足解消に向けた取り組み例をいくつか紹介しましたが、大事なことは、こうした取り組みを業界全体で、さらには国も巻き込んで長期的に行っていくことです。

社会にとって重要な「建設業」という業種を発展させていくためにも、業界に関係するすべての人が人手不足という課題の解決に向けて、力を合わせていきましょう。

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