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現場管理費とは?一般管理費や共通仮設費との違いや算定方法についても解説!

公開日:2023.06.19 更新日:2025.03.26
現場管理費とは?一般管理費や共通仮設費との違いや算定方法についても解説!
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この記事の監修

公益社団法人日本建築積算協会 特別顧問

加納 恒也

㈱フジタで東京支店積算部長、営業管理部長、工事担当副支店長、経営戦略室長を歴任。日建設計コンストラクション・マネジメント㈱の創立に参画、多くの官民建築プロジェクトに携わる。日本建築積算協会副会長兼専務理事、明治大学理工学部兼任講師も歴任。
【保有資格】一級建築士、一級建築施工管理技士、認定CM資格(CCMJ)、建築コスト管理士、建築積算士、コンクリート技士

現場管理費は、工事現場(作業所)を運営するための経費であり、工事管理を担当する元請側の従業員の給与や保険料、施工図作成などを含むものです。この記事では現場管理費の算定方法と一般管理費等や共通仮設費との違いについて分かりやすく解説します。

現場管理費とは?

工事現場の「現場管理費」とは、その工事現場(作業所)を運営するのに掛かる諸経費のことです。

例えば、工事管理や事務を担当する元請側の従業員の給与や工事保険料、施工図作成に掛かる費用などが該当します。

工事に直接的に関わる費用ではありませんが、工事をスムーズに進行させて要求される品質のものを作り上げるためには必須のものです。

工事費の構成

工事費は「直接工事費」と「共通費」及び「消費税等相当額」で構成されています。

直接工事費は大部分が工事の成果物として完成してかたちに残るものですが、共通費はその工事を進めるために必要な仮設物や管理費用のことです。

共通費はさらに「共通仮設費」「現場管理費」「一般管理費等」の3つに区分されています。

参照:国土交通省HP 公共建築工事の工事費積算における共通費の算定方法及び算定例

現場管理費の内訳

共通費の一部である「現場管理費」の内訳は、国土交通省が定める『公共建築工事共通費積算基準』において規定されています。

それぞれの項目について下の表に整理してまとめてみました。

項目内容
労務管理費現場労働者の労務管理に要する費用
租税公課契約書印紙代、各種申請手数料等
保険料火災保険、工事保険、自動車保険、賠償責任保険、法定外の労災保険およびその他の損害保険
従業員給料手当現場従業員等(主に元請企業の社員)の給与や諸手当
施工図等作成費施工図、完成図等の作成に要する費用
退職金現場従業員等の退職給付引当金あるいは退職金
法定福利費現場従業員等の労災保険料、雇用保険料、健康保険料及び厚生年金保険料の事業主負担額
福利厚生費現場従業員等に対する慰安、娯楽、厚生、貸与被服、健康診断、医療、慶弔見舞等に要する費用
事務用品費事務用消耗品費、OA機器等の事務用備品費、新聞・図書・雑誌等の購入費、工事写真・完成写真代等の費用
通信交通費電話やネット回線などの通信費、出張旅費及び移動交通費
補償費工事騒音、振動、濁水、工事用車両の通行等に対して、近隣の第三者に支払われる補償費
その他会議費、式典費、工事実績の登録等に要する費用、各種調査に要する費用、その他上記のいずれの項目にも属さない費用

参照:国土交通省HP 公共建築工事共通費積算基準

現場管理費と一般管理費、共通仮設費の違い

共通費は「共通仮設費」「現場管理費」「一般管理費等」の3つに区分されていますが、現場管理費以外の2つの内容との違いについて解説します。

共通仮設費の内訳

共通仮設費とは、仮囲いや現場事務所あるいは揚重機械(クレーン)など、建築や設備など全ての業種が共通して使用し、工事が終われば撤去され無くなる仮設物のことです。敷地全体の清掃費や現場従業員や作業員の安全対策費もその中に含まれます。

項目内容
準備費敷地測量、敷地整理、道路占用・使用料、仮設用借地料 等
仮設建物費監理事務所、現場事務所、宿舎 等
工事施設費仮囲い、工事用道路 等
環境安全費安全標識、消火設備等の設置、交通誘導・安全管理等の要員、隣接物等の養生、自然災害防止対策に要する費用 等
動力用水光熱費工事用電気・水道料金 等
屋外整理清掃費屋外・敷地周辺の跡片付け、端材等の処分、除雪費用 等
機械器具費測量機器、揚重機械器具、雑機械器具 等
情報システム費情報共有、遠隔臨場、BIM 等
その他その他上記のいずれの項目にも属さない費用

一般管理費等の内訳

一般管理費等は、会計上の営業総利益とほぼ等しく、一般管理費(営業費あるいは販売管理費)と営業利益のことを言います。いわゆる粗利益に該当し、建設業では工事益と通称されます。

一般管理費は工事現場ではなく、下表のように、主に元請会社の本社や支店の維持に掛かる経費のことを指します。

民間工事の工事費見積書においては、現場管理費と一般管理費等を「諸経費」として一本化して計上されることも多くみられます。

項目内容
役員報酬等取締役及び監査役に要する報酬及び賞与
従業員給料手当本店および支店の従業員の給与、諸手当及び賞与
退職金本店および支店の従業員に対する退職金
法定福利費本店及び支店の従業員に関する労災保険料、雇用保険料、健康保険料及び厚生年金保険料の事業主負担額
福利厚生費本店及び支店の従業員に対する慰安、娯楽、貸与被服、医療、慶弔見舞等の福利厚生等に要する費用
維持修繕費本店および支店の建物、機械、装置等の修繕維持費、倉庫物品の管理費等
事務用品費本店および支店の事務用消耗品費、備品、新聞参考図書等の購入費
通信交通費本店および支店の電話やネット回線などの通信費、出張旅費及び移動交通費
動力用水光熱費本店および支店の電力、水道、ガス等の費用
調査研究費技術研究、開発等の費用
広告宣伝費広告、公告又は宣伝に要する費用
交際費得意先、来客等の接待、慶弔見舞等に要する費用
寄付金社会福祉団体等に対する寄付
地代家賃事務所、寮、社宅等の借地借家料
減価償却費建物、車両、機械装置、事務用備品等の減価償却額
試験研究償却費新製品又は新技術の研究のための特別に支出した費用の償却額
開発償却費新技術又は新経営組織の採用、資源の開発並びに市場の開拓のため特別に支出した費用の償却額
租税公課不動産取得税、固定資産税等の租税、道路占有料その他の公課
保険料火災保険その他の損害保険料
契約保証費契約の保証に必要な費用
雑費社内打合せの費用、諸団体会費等の上記のいずれの項目にも属さない費用

現場管理費の算定方法

ここでは、現場管理費を算定する方法について解説します。

冒頭で示した図の再掲になりますが、現場管理費は共通費の一部であり「純工事費」とともに工事原価を構成します。

共通費の算定方法

公共工事において、共通費は「公共建築工事共通費積算基準(共通費基準)」の規定により算定されます。

共通費基準では算定方法は二つあります。ひとつは必要となる費用項目をそれぞれ積み上げて算定する方法で、もうひとつは過去の実績等に基づいた各共通費の工事費に対する比率(共通仮設費率、現場管理費率及び一般管理費等率)により算定する方法です。

一般的には、後者の共通費基準に定められた各共通費の比率により算定し、比率に含まれない内容については別途積み上げにより算定し加算する方法が多く取られます。

別途積み上げによる「比率に含まれない内容」とは、共通仮設においては、工事現場の状況によって金額差の大きい項目である仮囲いや警備費あるいは揚重機械(クレーン)などに要する費用です。

参照:国土交通省HP 公共建築工事の工事費積算における共通費の算定方法及び算定例

共通費を算定するフローは下記の通りです。

①直接工事費と工期の設定

 ↓

②共通仮設費の算定

 ↓⇒

現場管理費の算定

 ↓⇒

④一般管理費の算定

現場管理費の算定方法

共通費率で現場管理費を算定する場合は、「純工事費」に対する比率で計算します。

純工事費とは「直接工事費」に共通仮設費を加えたものであり、そうして算定された純工事費に「現場管理費率」を掛けることで現場管理費を算定できます。

現場管理費率は工事の種類や規模および工期によって変わりますが、純工事費に対しておおむね5~8%程度の比率となることが多いようです。

また、一般管理費等については、工事原価に対しておおむね8~10%程度が経営上必要な比率となります。

現場管理費の妥当な計上方法

予算を組むために現場管理費を計算する場合は、公共建築工事共通費積算基準の計算式により、純工事費(直接工事費+共通仮設費)と工期から比率(係数)を算定すればよいでしょう。純工事費に対する比率(係数)は、工事費が大きくなると減少し、工期が長くなると増加します。

民間工事の場合、建設会社あるいはプロジェクトによって現場管理費および一般管理費等の工事費に対する比率は異なります。また、両者を一本化して諸経費として計上されるケースも多くみられ、商習慣上は純工事費の8~15%程度の比率となっています。

発注者側が諸経費を全て利益であると誤解している場合もあり、建設会社が見かけ上の経費率を低くして純工事費の各項目単価をアップするケースも多くみられます。したがって、経費率で見積金額の高い、安いを判断することはできず、見積総額と各項目の数量、単価などが適正かを確認し、妥当性を判断することが必要です。

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