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Con-Techの市場規模は?建設業界の動向と今後の展開についても解説!

公開日:2023.07.21 更新日:2023.07.21
Con-Techの市場規模は?建設業界の動向と今後の展開についても解説!

Con-Tech(建設テック)は建設業界の問題を劇的に改善する可能性を秘めています。建設DXや脱炭素に向けたGXの分野には今後巨額の投資が見込まれており、対応が必須になっていくでしょう。この記事ではCon-Tech市場の動向と今後の展開について詳しく解説します。

Con-Tech(建設テック)の市場規模は?

Con-Techによる建設業のIT化の取り組みが注目されています。まずはその市場規模について国土交通省の資料から推察してみましょう。

建設業界の市場規模

国土交通省の調査によると、令和4年度の建設投資額の見通しは66兆9,900億円(前年度比0.6%増)です。

その内訳としては、政府投資34%、民間住宅建築投資36%、民間非住宅建設投資43%、民間建築補修投資21%となっており、中でも民間非住宅建設投資と民間建築補修投資が年々増大していることが分かります。

参照:国土交通省HP 令和4年度(2022年度) 建設投資見通し 概要

Con-Tech(建設テック)の市場規模

令和3年度の調査では、建設業の設備投資額は3,714億円(前年比8.3%減)でした。その中で情報システム関連の設備投資は125億円となっており、設備投資全体の約3%に留まっています。

(参考:機械設備・器具等269億円 社屋等の業務用土地・建物978億円)

先述の建設業界の66兆円にも上る巨大な市場規模と比較して、この情報システム関連の投資額は他業界と比較してもあまりにも少ないことが問題となっています。

Con-Tech(建設テック)はこの情報システム設備投資のひとつになり、今後の投資額増大の余地が多く残されていることから、大きな伸長が期待されている注目の分野といえるでしょう。

参照:国土交通省HP 令和3年建設業活動実態調査の結果

建設業界を取り巻く課題

Con-Techを取り入れて建設業界の課題を改善する取り組みが試みられています。ここではCon-Techを取り巻く業界環境について解説します。

人手不足

国土交通省の調査によると、建設業の就業者数はピークの685万(平成9年)人と比較して令和2年は492万人に減少しています。

就業者の年齢で見ると、55歳以上が全体の約36%を占めているうえに29歳以下は約12%しかおらず、高齢化が進行し新規就労者も少ないことが明らかです。

今後は団塊世代の技術者・技能者の大量引退の時代を控えており、次世代への技術承継が大きな課題となっています。

参照:国土交通省不動産・建設経済局 最近の建設業を巡る状況について【報告】 P5

建設業における人手不足については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

関連記事:建設業における人手不足とは?人手不足の原因から解決策まで徹底解説

労働生産性の低さ

建設業界の労働生産性は、他の業界と比較して決して高いとは言えません。加えて、2024年からの働き方改革関連法が完全適用されることに伴い、今後は時間外労働が厳しく規制されます。

さらに、2023年度より公共工事の工事現場は原則として週休二日制(4週8休)へ完全移行することとされており、今後は民間の工事においても週休二日は常識となっていくでしょう。

限られた期間の中で業務を確実に遂行するために、最小限の人数で多くの仕事を効率よくこなすという生産性を高める努力がこれまで以上に求められるようになります。

その切り札として期待されているのが、Con-Techの導入による生産性の向上です。

Con-Tech(建設テック)を取り巻く動向

Con-Techは国土交通省や環境省が推進する各種の政策と連携して推進されています。

ここでは建設業を取り巻く最新の動向について解説します。

i-Construction

国土交通省では「i-Construction」と呼ばれる取り組みで建設現場のICT化を推進しています。

これは、ドローン等を用いた3次元測量や「ICT建設機械」の導入による施工の省人化、工事の成果を3次元データ計測で検査に掛かる時間を短縮するなどの取り組みで工事日数を短縮することを目指すものです。

この取り組みにより、2025年までに建設現場の生産性を2割向上することが期待されています。

建設DX

ICTやAIなどのデジタル技術を導入して業務の効率化や人材不足などの課題を解決しようとする取り組みを「建設DX」と呼びます。

先述のICT機器の導入や設計図のBIM化、設計や施工管理の補助としてのAIの活用などが積極的に研究開発されており、既に多くの事例で成果を挙げています。

建設DXについてはこちらの記事でより詳しく解説しています。

関連記事:いま注目の建設DXについてわかりやすく解説!取り組み事例についても紹介します

建設業界でのAI活用事例に関しては、こちらの記事もご参考にしてください。

関連記事:建築AI活用の動向は?AIを使った建築活用例も紹介します

GXとグリーン成長戦略

「2050年カーボンニュートラル」という政府目標の達成のため、国内の温室効果ガス(CO2)総排出量の3分の1を占めるとされる建設分野での対策が急務となっています。

政府による「GX(グリーントランスフォーメーション)」および「グリーン成長戦略」の策定で、今後10年で官民合わせて150兆円もの脱炭素関連の投資が見込まれており、Con-Techを活用したICTやAIの活用などによる合理化もその重要な一分野として注目を集めているところです。

エネルギーマネジメントによるCO2削減

Con-Techには、AIを活用したエネルギーマネジメントなど環境分野での貢献も期待されています。

エネルギーマネジメントとは、建物で使用される電力やガスなどのエネルギーの使用量を「見える化」し、効率的な使用を管理するものです。

また、建物に設置した太陽光発電などの電力を自社内や地域で融通しあうなどの地域電力システムとの連携についても研究されています。

さらに、2030年までに全ての新築建物のZEB/ZEH化が予定されています。省エネルギー性能の高いサスティナブルな建物でないと新たに建築できなくなるだけでなく、その後の運用においてもエネルギーを無駄にせず適切に管理することが今後さらに求められるでしょう。

そのためには属人的な管理ではなく、エネルギーマネジメントシステムを導入した効率的な管理が求められ、この分野でのCon-Techの拡充も期待されています。

環境に配慮した「サスティナブル建築」に関しては、こちらの記事もご参考にしてください。

サスティナブル建築がこれからの標準?その実現方法とメリット、実例も紹介します

Con-Tech(建設テック)市場のこれから

Con-Techの導入により、クラウドサービスによる業務ルーティンの自動化や業務のスリム化、ペーパーレス化が多くの企業でさらに進んでいくでしょう。

また、今後のCon-Tech市場ではICT機器の導入や設計のBIM化、AIの活用だけでなく、ますます基準が厳しくなる省エネ法への対応や運用のエネルギーマネジメントなど、環境・脱炭素分野が今後大きく伸長するのは確実です。

Con-Tech(建設テック)は今後の取り組みが必須の分野です!

Con-Techは少子高齢化や働き方改革による人材不足に対応するために省人化・業務の効率化への対応が急務な企業にとって、導入によって劇的な効果が得られる可能性を秘めたものです。

この記事をぜひ参考にしていただき、Con-Techの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

Con-Techの具体的な事例についてはこちらの記事でご紹介しています。

Con-Tech(建設テック)とは何?Con-Techを活用した生産性アップ事例をご紹介!

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