倉庫を建築するのに必要な費用を算出するには、統計調査による坪単価が参考になります。この記事では坪単価の目安と現在の市況、倉庫建築の種類と建築費用を安く抑えるポイントについて解説します。
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倉庫の坪単価は?
倉庫を必要とする業界は多種多様です。物流業はもちろん、製造業や流通小売業などでも出荷製品を一時保管したり在庫しておくために倉庫を必要とします。
この記事では新たに倉庫を建築するのに必要な費用について、「坪単価」の観点から解説していきます。
建築着工統計調査による坪単価
国土交通省が取りまとめている「建築着工統計調査」によると、2022年度の「倉庫」用途の建築物の坪単価平均は45.5万円でした。
構造種別別に見ると、次のようになります。
倉庫の構造 | シェア | 坪単価(全国平均) |
鉄骨造 | 77.5% | 46.3万円 |
木造 | 16.0% | 38.6万円 |
鉄筋コンクリート造 | 2.0% | 44.0万円 |
都道府県ごとの金額比較
圧倒的にシェアの大きい「鉄骨造の倉庫」を、主要エリアごとに比較したのが次のグラフになります。
坪単価は全体として東高西低の傾向があることが分かります。建築する地域によって倉庫の建築費相場が大きく異なることに注意しましょう。
近年の建築費用相場の推移
倉庫の建築費は市況によっても大きく変動します。市況の推移を確認するには、国土交通省が公表する「建設工事費デフレーター」が役に立ちます。
それによると、2022年度の鉄骨造の建物の新築工事費は2015年度より19.4%増加しました。これは2020年に始まった新型コロナウィルスの感染拡大が収束しつつあることで、建築需要が急速に回復し、急激な建築コストの上昇が起こっているためと考えられます。
建築工事費や資材の高騰についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、併せてお読みください。
倉庫建築の種類
倉庫の建築を検討する際には、その構造や形式によっていくつかの種類があります。ここでは倉庫建築の4つの種類をご紹介します。
テント倉庫
鉄骨の骨組みをテント生地で覆ったテント倉庫は、簡易的な倉庫としてしばしば利用されます。
【坪単価の目安】
20~40万円
【メリット】
- 短い工期で建築できる
- 建物が軽いため地震の影響を受けにくく、基礎構造を簡易にできるためコストが安い
【デメリット】
- 外装の耐久性に劣り、定期的なテント生地の交換が必要になる
- 断熱性能が無いため室内環境が外部気温に影響を受けやすく、生鮮食品や精密機械の保管には向かない
プレハブ建築
工場で大量生産された規格部材を現地で組み立てて建築するもので、比較的小規模の倉庫に適しています。
【坪単価の目安】
20~40万円
【メリット】
- 量産品のためコストを抑えられ、発注から完工までの期間を短くできる
- 多くの部材が工場生産品のため施工品質が安定している
【デメリット】
- 梁スパンがあまり飛ばせず、柱が多くなる傾向にある
- カタログから選ぶかたちになり、間取りの自由度が低い
システム建築
システム建築とは、倉庫に適した設計システムを用意してセミオーダーで設計する倉庫です。
【坪単価の目安】
30~50万円
【メリット】
- 冷蔵倉庫や精密機械の保管、クリーンルームなど、さまざまなオーダーに対応できる
- 国土交通大臣認定を取得するなど、建築に必要な申請がスムーズで在来建築よりは短工期で低コスト
【デメリット】
- 柱の間隔や部屋の形状など設計システムの制約内でプランを検討しなければならない
在来建築
木造やRC造、鉄骨造など倉庫の規模や用途に応じてゼロから設計する倉庫です。
【坪単価の目安】
40~60万円
【メリット】
- 変形敷地などの特殊条件にも対応でき、間取りを自由に設計できる
【デメリット】
- 規模や立地によっては建築申請に掛かる期間も長くなり、工期も長くなる傾向がある
- 量産品で無く一点ものの建築になるため、コストも高くなりがち
倉庫の建築費用の目安は?
倉庫の建築に掛かる費用を概算する方法について説明します。
倉庫に必要な坪数
2022年度の建築着工統計調査によると、倉庫建築の平均坪数は309.6坪でした。もっとも倉庫に必要な坪数は、倉庫の用途と企業の規模にって大きく変わります。
自社が必要とする倉庫の面積を知るためには、既存の倉庫の坪数(約3.3㎡/坪)や、貸倉庫の坪数を参考にしてみると良いでしょう。
倉庫建築に必要な費用の目安
自社の倉庫に必要な面積が算出できたら、「坪数✕坪単価」でおおよその建築費の目安が分かります。
例えば、東京都で鉄骨造の300坪の倉庫を建築するのに必要な費用の目安は次の通りです。
300(坪)✕49.5(万円/坪)=14,850万円
予算を坪単価で割ることによって逆算すれば、建築可能な坪数を概算することも可能です。建築予算20,000万円で東京都で鉄骨造の倉庫を建築する場合の坪数は次のようになります。
20,000(万円)÷49.5(万円/坪)=404坪
倉庫の建築費用を安く抑えるポイント
倉庫の建築費や運用に掛かるコストを抑えると、経費を削減して事業の収益性を向上することに直結します。
ここでは、倉庫の建築費用をできるだけ安価に抑えるコツについて解説します。
トータルコストを正確に把握する
倉庫を建築して運用するためには、倉庫の建築費以外にも既存物の移設費用や整理陳列のための棚、搬送・楊重に必要な機械等の購入費が必要になります。建築見積に含まれていないものを正確に把握して、初期費用の計算をする必要があるでしょう。
また、運用後の光熱費や修繕費用、役割を終えた後の解体費用まで、ライフサイクルコストを考えた上で事業計画を入念に立てることが大切です。
地盤の良い立地を選ぶ
倉庫建築は床の耐久性と精度が命といえます。床に凹凸や亀裂が発生すると作業が危険になるだけでなく、業務効率も落ちてしまうからです。
地盤が弱い立地だと、1階の床をスラブ構造にして補強杭を打つなどの対策が必要になるため膨大なコストが必要となります。特に大型トラックが往来する倉庫では、地盤が弱いと周囲の舗装もすぐに劣化するため、頻繁は補修工事が必要です。
また、新規の造成地は埋め立てが多いため要注意です。その土地の履歴を確認し、近隣のボーリングデータを建設会社から入手し事前によく検討しておきましょう。
外部委託も検討
倉庫を自社で建築し、保有するには大きなコストが掛かります。
建築費の減価償却、運用に掛かる光熱費やセキュリティなどの経費を考えると、レンタル倉庫を賃借するほうが効率的なケースも少なくありません。
運用に関わる業務を含めて、倉庫運営を丸ごと外部委託できるサービスもありますので、自社にとって最適な方法を十分に検討すべきでしょう。
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価格相場と市況を把握して倉庫をリーズナブルに建築しましょう!
ここまで、倉庫建築の種類や坪単価について解説してきました。この記事を参考に、自社に見合った最適な規模や構造を検討してみてください。
また、倉庫の建築に掛かる費用は地域やその時の市況によっても大きく変わりますので、自社の事業計画と市況を照らし合わせて適切なタイミングで発注するようにしましょう。
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