マンションの建設費は坪単価✕坪数で概算ができますが、構造種別や地域、市況によって坪単価は大きく違います。坪単価を調べて精度の高い概算をする方法について解説するとともに、安心して依頼できる業者選びのポイントについても紹介しています。
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マンションの坪単価は?
マンションを建築するのに必要な費用はどれくらいでしょうか。2022年に建築されたマンションの統計データから、マンション建築費の坪単価相場を読み解いていきます。
建築着工統計調査による坪単価
国土交通省が取りまとめている「建築着工統計調査」によると、マンションが多くを占めると思われる「居住専用住宅(非木造)」の2022年度の建築坪単価平均は89.1万円でした。
これを構造別に整理すると次のようになります。
マンションの構造 | シェア | 坪単価(全国平均) |
鉄骨造 | 85.0% | 88.1万円 |
鉄筋コンクリート造 | 14.9% | 89.8万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 0.1% | 92.4万円 |
都道府県ごとの金額比較
建築費用は地域差が大きいため注意が必要です。構造別の坪単価を主要エリアごとに比較するとこのようになります。
このグラフからは、マンション需要の大きい東京都の坪単価が突出して高いことが分かります。地域によって相場は大きく異なりますが、人口集積地ほど高くなる傾向があるようです。
また、鉄筋コンクリート造は鉄骨造と比較して一般的に高価ですが、エリアによっては逆転するケースもあります。
近年の建築費用相場の推移
国土交通省が公表している「建設工事費デフレーター」によると、2022年度の鉄骨造住宅の新築工事費は2015年度より21.5%、鉄筋コンクリート造住宅は21.7%も増加しました。
この背景には新型コロナウィルス感染拡大の収束と、それに伴う建築需要の急速な回復があると考えられます。
また、都市部を中心にマンション建築需要が旺盛であり、現場労働者の人手不足や資材価格の高騰も相まって当面は工事費の上昇が懸念されている状況です。
建築工事費や資材の高騰についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、併せてお読みください。
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マンションの建築費用の概算方法
マンションの建築費用を概算するには、敷地条件から建築可能な建物のボリュームを算出する必要があります。
マンションの延床面積目安
まずは、建設予定地の建ぺい率と容積率を確認しましょう。具体的な敷地が決まっていない場合は、候補エリアの建ぺい率と容積率を参照します。
概算的には「敷地面積×建ぺい率」を建物1層の床面積とします。「敷地面積×容積率」が建築可能な延床面積になり、それを1層分の床面積で割ると建築可能な階数が算出できます。
建築費は坪単価×延床面積で概算できる
マンションの建築費は「坪単価×延床面積」で概算が可能です。
先述したその土地に建築可能な延床面積と、坪単価のエリア相場を掛けて建築費用を概算で算出します。
ただし、ここで算出できるのは建築本体工事のみですので、それ以外の費用も漏らさずに計上しておくようにしましょう。
例としては外構工事費用・不動産取得税・固定資産税・登記費用などの諸費用で、建築費用の10〜20%を加算しておくようにします。
マンション建築費の概算例
東京都でマンションを建築するのに掛かる費用について、二つのケースでシミュレーションしてみました。
※あくまで統計による2022年度の平均坪単価から算出した概算金額です。正式には設計事務所や建設会社等に見積を依頼することをおすすめします。
【ケース①郊外型】
建ぺい率60%・容積率200%の場合 ※本体建築費以外の費用については15%加算
敷地 面積 (㎡) | 敷地 面積 (坪) | 建築 面積 (㎡) | 建築 面積 (坪) | 延床 面積 (㎡) | 延床 面積 (坪) | 階数 | 鉄骨造 (千円) | 鉄筋コンクリート造 (千円) |
500 | 150 | 300 | 90 | 1000 | 300 | 3 | 361,900 | 380,100 |
1000 | 300 | 600 | 180 | 2000 | 600 | 3 | 723,800 | 760,300 |
1680 | 500 | 1008 | 300 | 3360 | 1010 | 3 | 1,218,400 | 1,279,900 |
【ケース②都市部型】
建ぺい率80%・容積率400%の場合 ※本体建築費以外の費用については15%加算
敷地 面積 (㎡) | 敷地 面積 (坪) | 建築 面積 (㎡) | 建築 面積 (坪) | 延床 面積 (㎡) | 延床 面積 (坪) | 階数 | 鉄骨造 (千円) | 鉄筋コンクリート造 (千円) |
500 | 150 | 400 | 120 | 2000 | 600 | 5 | 723,800 | 760,300 |
1000 | 300 | 800 | 240 | 4000 | 1210 | 5 | 1,459,600 | 1,533,400 |
1680 | 500 | 1344 | 400 | 6720 | 2030 | 5 | 2,448,800 | 2,572,600 |
マンションの建築費を抑えて収益をアップする方法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
関連記事:マンションの建築費の相場は?建築費を抑えるポイントについても解説
マンション建築にあたっての業者選びのポイント
マンションの建築工事を依頼するにあたって、建設業者を選定するためにチェックすべきポイントについて解説します。
マンション建築工事の実績が豊富
部屋数の多いマンション建築は、躯体から仕上げまで様々な工種が並行して作業をする労働集約型の建築工事です。工程管理と品質管理能力が特に問われる工事のため、経験と実績が豊富な建設会社に依頼するべきでしょう。
工事実績は建設会社に問い合わせるか、HPなどで確認できる場合もあります。
敷地に最適な建物規模の企画提案をしてくれる
限られた敷地面積を、法規制の中でいかに有効に使うかがマンションの収益力アップのカギです。同じ部屋数・賃料条件でも、提案によっては延床面積を抑えて建築コストを下げられる可能性もあります。
設計事務所やデベロッパーにマンションの設計を依頼するケースも多いですが、建設会社の中には提案から設計、施工までトータルで対応できる会社もあります。
特に投資目的のマンション建築の場合、土地の斡旋から対応してくれる会社は貴重です。企画提案力も建設業者を見極めるポイントになるでしょう。
メンテナンス体制が確立されている
マンションは引き渡し後の維持管理が非常に重要です。管理とメンテナンスの悪いマンションは入居率が下がり、収益力が下がるだけでなく資産価値も落ちてしまいます。
保証体制が充実していて、引き渡し後も修繕・改良工事を提案しつつ大規模修繕にも対応できる建設会社を選んでおくと後悔することが少ないでしょう。
マンションの大規模修繕や改修工事についてはこちらの記事でも詳しく解説していますのでご参考にしてみてください。
マンションの費用相場を把握して適正価格で建築しましょう
マンションの建築費用は建物の構造と延床面積から概算できることを解説してきました。
限られた敷地条件のなかで収益を最大化するためには、間取りやデザインだけでなく建設業者選びも重要なポイントです。
ここに挙げた費用相場を参考にしていただき、マンションの建築費用のチェックや建設業者選びの参考にしてみてください。
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