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入札参加の資格審査とはどのようなもの?申請方法と審査の流れについて解説します

公開日:2025.06.12 更新日:2025.06.12
入札参加の資格審査とはどのようなもの?申請方法と審査の流れについて解説します
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この記事の監修

公益社団法人日本建築積算協会 特別顧問

加納 恒也

㈱フジタで東京支店積算部長、営業管理部長、工事担当副支店長、経営戦略室長を歴任。日建設計コンストラクション・マネジメント㈱の創立に参画、多くの官民建築プロジェクトに携わる。日本建築積算協会副会長兼専務理事、明治大学理工学部兼任講師も歴任。
【保有資格】一級建築士、一級建築施工管理技士、認定CM資格(CCMJ)、建築コスト管理士、建築積算士、コンクリート技士

公共工事などの入札に参加するには「資格」が必要です。そして資格を取得するには申請を行い、審査を受けなくてはなりません。本記事では入札参加資格制度の概要と、申請・審査の流れについて説明していきます。

入札参加資格審査について

事業者が国や地方公共団体等が発注する公共事業の入札に参加するには「入札参加資格」が必要です。そして入札資格を取得するには「審査」を受けなくてはなりません。

入札参加を検討しているなら、まずは入札制度の簡単な概要と、入札参加資格の仕組みについてきちんと理解しておきましょう。

入札制度の概要

入札制度は、国や地方公共団体などの物品調達や、工事の発注で採用されている契約手順です。発注者は契約の内容や要件をあらかじめ公告して、事業者はその要件に沿って入札(応募)を行います。

入札に参加するには、法令によって定められた入札参加資格を取得しなければなりません。

入札の業務カテゴリ

入札の対象となる業務は、大きく分けて4つのカテゴリに分類できます。

①物品

物の調達に関する業務、つまり製造や販売に関する入札です。代表的なものとしては事務用品や機械の購入、印刷などが挙げられます。

②役務(業務委託)

サービスの提供に関する入札です。一例として、人材派遣やシステム開発、広告、設備保守、整備、清掃などがあります。

③建設工事

公共工事に関する入札です。新築、改修、解体といった建築工事だけでなく、建築に伴う電気設備工事や機械設備工事、橋や鉄道あるいは道路や河川工事などの土木工事も含まれます。

④建設コンサルタント

各種設計や測量に関する入札です。地籍調査業務や、トンネル点検業務などもこれに含まれます。

入札参加資格の種類

入札参加資格の種類は、発注者ごとに、あるいは業務カテゴリごとに分かれています。

物品役務
(業務委託)
建設工事建設コンサルタント
全省庁統一資格全省庁統一資格省庁の独自資格
地方公共団体地方公共団体の独自資格/複数の地方公共団体による共同資格
外郭団体など管轄省庁の資格/団体等の独自資格

入札参加資格の有効期限

入札参加資格には基本的に有効期限があります。たとえば「全省庁統一資格」の場合、有効期限は最大3年です(資格を取得するタイミングによって変わります)。また自治体の入札参加資格は「1年8ヶ月」「2年」「3年」など幅があります。

いずれにしても、継続して入札に参加する場合は有効期限に注意が必要です。

入札参加資格審査の申請方法

入札参加資格の審査の申請は発注者や資格の種類によって要件や手順が異なります。すべてを網羅して説明することはできないため、ここでは基本情報を紹介します。実際に入札に参加を検討する際は、個別の要件や審査手順をしっかり確認するようにしてください。

申請のタイミング

申請時期には、資格名簿の有効期限の始期から認定を受ける定期申請と、有効期限の途中から認定を受ける随時申請があります。また、入札参加資格審査には、おおむね1週間から1か月程度の時間がかかります。このため入札開始直前の申請では間に合いません。あらかじめ余裕を持って申請するようにしましょう。

申請先

申請先は原則として発注者となる国や地方公共団体等の窓口です。ただし全省庁統一資格の場合、統一資格審査申請・調達情報検索サイトから申込みできます。

申請書の持参・郵送などと電子申請

入札参加資格の申請はもともと「窓口に持参」するか「郵送」あるいは「電子メール」が基本でした。ただし現在ではインターネット技術の発達と、国や地方公共団体等のシステムが整備されたことで電子申請(インターネット経由での申請)が主流です。申請先により申請方法が定められていますので確認が必要です。

なお電子申請にはインターネット環境や端末(パソコン)だけでなく、「電子証明書」や「ICカードリーダー」などの周辺機器が必要になります。発注者側のシステムによってはパソコンのOSやソフトウェアが指定されることもあるため、こちらも確認が必要です。

申請費用

入札参加資格審査の申請は「無料」です。ただし上で説明した通り、電子申請に必要なハードウェアやソフトウェア、さらには電子証明書の取得に費用(一般には数千〜数万円程度)がかかります。

入札参加資格審査の流れ

入札参加資格審査はおおまかに「申請書類の提出〜発注者による資格審査〜入札参加資格者名簿に登録」という流れで行われます。新規申請、更新申請それぞれの流れについてもう少し詳しく見ていきましょう。

新規申請

はじめて入札参加資格審査を受ける場合の流れは、以下の通りです。

①必要な入札参加資格と申請先を調べる

すでに説明した通り、入札参加資格にはいろいろな種類があります。申請先も入札参加資格によって異なるので、まずは「どの入札参加資格が必要か」「どの窓口に提出すればいいか」を確認します。
また入札参加資格の中には申請期間があらかじめ決められているものもあります(特に建設工事、建設コンサルタントの入札参加資格)。将来的に入札参加を検討しているなら、具体的な入札案件が見つかる前に資格を取得しておくことをおすすめします。
公共建設工事の入札参加については、少額の工事を除き経営事項審査を受けることが義務づけられていますので、注意が必要です。また、請負契約締結には経営事項審査の有効期限内(審査基準日から1年7か月)であることが要件ですので、実際には毎年定期的に経営事項審査を受ける必要があります。

②申請書類を揃える

申請には「申請書」をはじめ、さまざまな書類の添付が必要です。書類の作成や取り寄せには時間と手間がかかります。十分に余裕を持って準備を始めておくとよいでしょう。添付書類の例としては、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)、納税証明書、財務諸表などが挙げられます。

③申請

窓口への「持参」「郵送」「電子メール」「電子申請」などの方法で申請を行います。最近の主流は電子申請なので、必要なシステムをあらかじめ用意しておくとよいでしょう。

④審査

提出した書類に基づいて、必要な要件を満たしているかを発注者側が審査します。

⑤資格発行・名簿への登録

要件を満たしていた場合は入札参加資格が発行され、入札参加資格者名簿に登録されます。入札参加資格は等級によってランク付けされ、入札参加できる発注金額(予定価格)が定められます。建設工事においては、客観的審査事項(通常は経営事項審査の総合評価値)と主観的審査事項(実績等)によって等級が定められることが一般的です。

更新申請

更新申請も大きな流れは変わりません。ただし必要な入札参加資格の種類や申請窓口はすでに分かっているため、そのぶんだけ新規申請よりも有利です。

現在取得している入札参加資格の有効期限をしっかり把握して、更新のタイミングを間違えないよう注意すればそれほど難しいことはないでしょう。

入札参加資格について理解して、スムーズな入札参加を目指しましょう

希望する工事等への入札参加を成功させるためには、前提となる入札参加資格についてしっかり理解することが大切です。どのような資格が必要なのか、どこに・いつ申請すればよいのかなど、こまめな情報収集と早めの行動をこころがけましょう!

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