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総価契約単価合意方式(BQ方式)とは?概要から入札の仕組みまで徹底解説します

公開日:2023.03.30 更新日:2023.04.10
総価契約単価合意方式(BQ方式)とは?概要から入札の仕組みまで徹底解説します

国や地方自治体が発注する公共工事では、総価契約単価合意方式(BQ方式)が採用されています。入札手続きを経て落札するためには、総価契約単価合意方式がどのようなもので、どのようなメリットやデメリットがあるかしっかりと把握しなければなりません。本記事では、総価契約単価合意方式が分からない方に役立つ情報を紹介していきます。

総価契約単価合意方式(BQ方式)とは

総価契約単価合意方式とは、契約における価格および各種条件を決定するための契約手法です。

なお、総価契約単価合意方式をBQ(Bill of Quantities)方式と表現することもあり、本方式では発注者サイドが作成した数量明細書に対して受注者サイドが価格を提示することで請負金額が決定します。

総価契約単価合意方式の特徴

総価契約単価合意方式の特徴は、数量明細書の各工種単価も契約の対象とすることです。

このため「数量明細書」も契約書類の一部に含まれます。

総価契約単価合意方式導入の背景および目的

総価契約単価合意方式導入の歴史は19世紀まで遡ります。

産業革命時代のイギリスでは、発注される工事件数が増加しており、受注者が抱える案件数も比例して増加していました。

このため受注者にとっては、工事を入札するごとに数量積算作業を行うことが大きな負担となっていたのです。

やがてそれらの負担を軽減するため、入札に参加する受注者が共同で、工事数量積算および詳細工事内容を記載した一冊の工事数量内訳書を作成する人間を雇用するようになりました。

この工事数量内訳書が、現代の数量明細書の始まりであるとされています。

数量明細書を契約書類の一部とする総価契約単価合意方式の目的は、発注者と受注者における双務性の向上です。

工種単価について事前に協議・合意していれば、請負代金額に変更が生じた場合でも設計変更や出来形払に伴う協議の円滑化が図れます。

総価契約単価合意方式の役割

総価契約単価合意方式の役割は、受注候補者の入札に伴う経費節減と、入札者へ公正な競争入札が行われるように環境整備を構築することです。

19世紀のイギリスにまでさかのぼる総価契約単価合意方式は、現代日本でも国や地方自治体、さらには民間業者が発注する工事においても、契約図書の一部として非常に重要な役割を果たしています。

総価契約と単価契約の違い

総価契約単価合意方式を正しく理解するためには、総価契約と単価契約の違いを知ることが重要です。

ここからは、総価契約と単価契約の違いについて詳しく解説します。

総価契約

総価契約は支払金額が工事数量に左右されない契約です。あらかじめ工事数量と単価が決まっている工事に採用され、工事単位ごとの単価ではなく工事全体の総価金額で契約を行います。

単価契約

単価契約は工事数量に応じて支払金額が変わる契約です。実際に業務を行わないと工事数量が決まらない工事に採用されます。

たとえば地方自治体が行う道路の補修工事などで、使用するアスファルト合材の単価は決まっているものの、どれくらいの補修工事が発生するかは不明である、といったケースがこれに当たります。

総価契約単価合意方式のメリットおよびデメリット

国・地方自治体・民間企業などが工事を発注する際に幅広く活用している総価契約単価合意方式には、さまざまなメリットとデメリットがあります。

メリット

総価契約単価合意方式のメリットとしては、工事の変更協議が円滑になることが挙げられます。また工事の途中で変更が発生した場合に、金額の計算を容易に行うことができ、最終額の見当をつけやすいこともメリットとして挙げられるでしょう。

受注予定者にとってのメリットとしては、あらかじめ工事内容から細かな数量を算出する必要がない点があります。

一方の発注者にとっては、複数の受注候補者が同一条件で見積金額を提示してくれるため見積金額を迅速に比較検討できるという点がメリットです。

総価契約単価合意方式のメリット

  • 工事の変更協議が円滑になる
  • 工事の途中で変更が発生した場合に金額の計算が容易で、最終額の見当をつけやすい
  • (受注予定者)あらかじめ工事内容から細かな数量を算出する必要がない
  • (発注者)同一条件で見積金額が提示されるため見積金額を迅速に比較検討できる

デメリット

総価契約単価合意方式のデメリットは、事前の協議・合意に手間と時間がかかることです。

総価契約単価合意方式による契約では、あらかじめ請負代金額の変更があった場合の金額算定や、部分払金額の算定を行うための単価などについて協議し、合意しておかなければなりません。

もっとも工事が始まった後は、変更に伴う協議を他の契約方法より円滑に行えることから、トータルで見れば大きなデメリットとはいえないでしょう。

総価契約単価合意方式の入札

総価契約単価合意方式の入札手続は、基本的に他の契約方式による入札手続と変わりません。入札には「一般競争入札」「制限付き一般競争入札」「指名競争入札」「随意契約」などの種類がありますが、総価契約単価合意方式でもこれらの方法が採用されます。

総価契約単価合意方式ならではの特徴は、契約が成立した後に「請負代金額の変更があった場合の金額の算定や分払金額の算定を行うための単価」を協議し、合意するという手順が追加されることです。

単価についての協議と合意は、受注者が提出した請負代金内訳書に基づいて行われます。具体的には「工事数量総括表」をベースに、直接工事費、共通仮設費、共通仮設費、現場管理費及び一般管理費などの単価を決定します。

総価契約単価合意方式を正しく理解しよう

総価契約単価合意方式は、受注者のみならず発注者にも大きなメリットがあるため広く採用されています。

本記事が、総価契約単価合意方式でさまざまな工事を受注される方の一助となれば幸いです。

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