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積算とはどんな業務?目的や具体的な積算項目についてわかりやすく解説します。

公開日:2023.07.21 更新日:2023.07.21
積算とはどんな業務?目的や具体的な積算項目についてわかりやすく解説します。

工事に必要な費用を予測し、算出するのが「積算」です。積算を行うことで、材料費から水道光熱費、人件費など「その工事に必要なすべての費用」が明らかになります。この記事では積算の詳しい内容や、見積りとの違いについて解説します。

積算とは?

積算とは建設業界で特に重要な業務の一つで、あらかじめ工事に必要な費用を詳細に予測し、全体の費用を積み上げて算出することを指します。

ただし積算は、工事の種類(たとえば、建築工事、電気設備工事、機械設備工事、昇降機設備工事など)により、その算出方法や項目が異なるため注意が必要です。

積算の目的

積算の主要な目的は、工事にかかる全体の費用を正確に予測し、予算の管理や工事のスケジュールの策定、さらには利益の最大化に寄与することです。

また積算結果は、発注者に提示することにより、発注者が工事費用を把握し、工事の進行を理解するための重要なツールともなります。

正確で詳細な積算を行うことは、工事の成功につながるうえ、発注者からの信頼獲得にもつながる重要なプロセスといえるでしょう。

見積りとの違い

積算は、工事に直接的に関わる経費を詳細に計算して工事の総費用を出すことです。

これに対して見積りは、積算額に一般管理費や利益分を加えて、発注者に提示する最終的な工事費用のことを指します。つまり、見積額は「積算額+一般管理費+粗利益」で算出されるというわけです。

このように、積算と見積りの概念はそれぞれ異なります。これらの違いを理解することは、プロジェクトの予算管理と進行を効果的に行うために重要です。

積算の構成要素

積算の構成要素となる各費用は以下の通りです。それぞれの詳しい内容については、関連記事『積算業務のフローとは?業務に役立つスキルや資格についても紹介します』をお読みください。

直接経費

積算の中でも最初に考慮されるのが直接経費です。これは具体的な工事に直接かかる費用を指しており、たとえば水道光熱費、機械の消耗品、その他の経費などが含まれます。

特に工事現場で使用される機械の維持・保守にかかる経費は、劣化や故障による機械のダウンタイムを予防するために欠かせない重要な費用です。

材料費

積算におけるもう一つの重要な要素は材料費です。これは建築物や設備を構築するために必要な、各種の材料や資材の費用のことを指します。

材料費は、各仕入先からの仕入れ値(数量×単価)を用いて計算されます。適切な材料を選択し、その購入価格をしっかり把握することは、全体のコストを効率的に管理するために必要不可欠です。

労務費

労務費は、プロジェクトに参加する全ての労働者の給与や報酬を指します。人件費の算出には「歩掛(ほがけ)」と呼ばれる指標が使用されます。

歩掛とは、特定の作業に必要な労働時間を表すもので、これを用いて総労務費を算出します。適正な労務費の算出は、プロジェクトの成功に向けて非常に重要です。

共通仮設費

共通仮設費は、工事現場の安全を確保し、効率的な作業を行うために必要な仮設物の設置や撤去にかかる費用を指します。足場や仮囲い、仮設トイレなどがこれに該当します。

これらの設備は工事全体を通じて利用されるため、一定の費用をかけてきちんと整備することが必要不可欠です。

現場管理費

現場管理費は、工事の進行を円滑に行うために必要な経費を指します。具体的には、現場監督や技術者の給与、福利厚生費、安全管理費用、品質管理費用などが含まれます。

また、通信費や事務用品費など、現場オフィスの運営に関連する費用もこの部分に計上されます。正確な現場管理費の積算は、工事全体の進行をスムーズにし、計画通りに作業を進めるために不可欠です。

積算のポイント

積算は建設プロジェクト成功のための重要なステップです。それを達成するため、以下のポイントに注意を配りましょう。

詳細な施工計画の作成

積算における第一のポイントは詳細な施工計画の作成です。具体的な作業内容、必要な人員や材料、工程の進行スケジュールなど、全ての要素を詳細にプランニングすることが求められます。

各工程の時間、コスト、必要な資源を正確に評価し、それらをまとめて適切な施工計画を作成することで、工事全体の進行をより効率的に管理することが可能です。

加えて、この計画はプロジェクトの全参加者に対する明確な指針を提供し、全体の進行を円滑にすることにも役立ちます。

現場の環境を考慮

次に重要なポイントは現場の環境を考慮することです。土地の形状、地質、近隣の環境、気候条件といった環境は工事の進行に影響を及ぼすため、これらをきちんと把握し、適切に考慮することが必要です。

たとえば厳しい気候条件下や、スペースが限られる環境などでの作業は、特別な機器や手法を必要とするため、工事のコストやスケジュールに大きな影響を与えます。

歩掛は臨機応変に対応

歩掛は、特定の作業に必要な労働時間を表す指標です。しかし、現場の状況によっては計画した歩掛が変わることもあります。

たとえば、不測の事故や悪天候、材料の遅延などにより作業時間が増加する可能性があるでしょう。このような変化に対応するためには、歩掛を柔軟に見直し、臨機応変に対応する能力が求められます。

適正な労務費の把握

最後のポイントは適正な労務費の把握です。労務費は、プロジェクトの全コストの中でも大きな割合を占めるため、これを適切に管理することは工事費全体を把握する上で不可欠です。

具体的な人件費、オーバータイム料、福利厚生費などを計算し、現場で働くすべての労働者に対する公平な賃金を確保しなければなりません。また、法規制の変化や市場の労働力需要の変動も考慮に入れて、労務費を随時更新することも重要です。

積算について正しく理解して、スムーズな工事着工を目指しましょう

積算は建設プロジェクトをスムーズに動かすうえで欠かせない要素です。工事の成功と自社の経営安定のため、積算のポイントについてしっかりと理解するようにしましょう。

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