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建築工事の現場管理とは?現場監理や施工管理との違いについても解説します

公開日:2023.06.19 更新日:2023.06.19
建築工事の現場管理とは?現場監理や施工管理との違いについても解説します

工事の「現場管理」には、工程管理・品質管理・安全衛生管理・原価管理・顧客管理など様々な要素があり、それぞれについて重要なポイントについて解説します。また、「施工管理」や「現場監理」との違いや、良い現場管理を実施するためのポイントについても解説します。

現場管理とは?

現場管理とは、建築工事や土木工事、設備工事などで、現場監督や各専門工事の主任技術者が工事現場の様々な管理をする業務のことです。

工事の着工から引き渡しまでのスケジュール管理(工程管理)をしつつ、設計図通りの仕様を実現させる(品質管理)ことが現場管理の基本です。

その過程においては、現場に従事する作業員の安全や労務環境を守りながら(安全衛生管理)、会社の求める予算内で工事を終わらせる(原価管理)ことも求められます。

さらには、施主への工事進捗説明や変更対応、引き渡し後のアフターフォローも行う(顧客管理)ことも現場管理の業務です。

「施工管理」との違い

「現場管理」は「施工管理」と呼ばれることもあります。

この二つの言葉に大きな意味の違いはありませんが、施工管理と言う場合は、工程管理と品質管理に重きを置く印象があります。

現場管理という言葉はその基本を踏まえつつ、安全やコスト、人的ケアも含めて工事全体を広くカバーする意味合いがあります。

「管理」と「監理」の違い

「現場管理」と「現場監理」も混同されやすい言葉です。読みが同じで漢字が違うだけですが、この二つの業務は明確に違います。

建設業界で使われる「監理」とは、設計図通りに工事が実施されているかを照合する業務のことです。

デザインビルド方式や設計施工一括発注方式の場合は、現場監督が設計監理業務を同時に行うケースもあります。

現場管理に必要な資格

建設業を営む企業の従業員が現場管理者となって工事現場で仕事をする際には、第一に業務の知識や経験が重視されます。

業務経験が浅い場合は上司や先輩の下で必要な知識と経験を身に付けるという、徒弟制に近い風習が根強く残っていますが、一定規模以上の工事現場を管理するためには国家資格が必須です。

現場管理に必要な国家資格としては、「施工管理技士」が挙げられます。施工管理技士とは、工事の施工を管理監督する技能を認定する制度で、土木・建築・建設機械・電気工事・電気通信工事・管工事・造園の7種類があり、それぞれに一級と二級があります。資格の取得には一定の実務経験を満たしたうえで検定試験に合格する必要がありますが、現場管理の業務をするうえでは必須の資格と言えるでしょう。

また、現場管理者が身に付けている知識や経験を裏付けるものとして、建設業法で「主任技術者」「監理技術者」の制度が用意されています。

主任技術者は全ての工事現場に業種ごとに選任することが義務付けられており、監理技術者は元請での工事請負で下請に発注する金額の総額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)の工事現場で主任技術者に代わって配置する必要があります。

主任技術者と監理技術者は、施工管理技士や建築士などの指定の国家資格を保有していることや一定期間の実務経験があることが選任の要件です。

内部リンク:主任技術者と監理技術者の違いとは?監理技術者が兼任できる条件についても解説

また、一定規模以上の工事現場においては、「統括安全衛生責任者」「元方安全衛生管理者」「安全衛生責任者」の選任が義務付けられており、これらの選任を受けるためには、「安全衛生責任者教育」を受講し修了証の交付を受ける必要があります。

安全衛生責任者教育は各地の災害防止協会や技能者協会などの社団法人や民間の安全衛生コンサルタントなどが随時主催していますので、受講しておいて損は無いでしょう。

現場管理で重要な5つの「管理」

現場管理においては、次の5つの管理が重要です。

  1. 工程管理
  2. 品質管理
  3. 安全衛生管理
  4. 原価管理
  5. 顧客管理

この5つの管理について、以下に解説していきます。

現場管理のポイント①工程管理

現場管理の基本は、工程管理です。工事請負契約に記載されている工期を遵守することはもちろんですが、なかなか思い通りに行かないものです。

日々変動する様々な要因(人・モノ・気象など)に柔軟に対処しながら、工種ごとの前後関係を考えつつ舵取りを行う必要があります。

また、近年では働き方改革関連法案により残業や休日日数が厳しく規制されており、特に公共工事では現場週休二日制が推進されるなど、工事現場における労務管理はますます厳しくなっている状況です。

その中で、現場従事者の労務環境に気を払いながら、工事現場の運営を行うことが求められるようになっています。

現場管理のポイント②品質管理

設計図面や仕様書に明記されている通りのものを作り、品質を確保することも現場管理の重要な仕事です。

必要な検査や試験を随時実施し、施工品質を証明する必要があります。

業者や職人が工期を優先して施工手順を省くようなことが無いように、常に目を光らせることが重要です。

現場管理のポイント③安全衛生管理

現場管理においては、労働災害を発生させないためのKY(危険予知)とリスクアセスメント(危険評価)を常に実施します。

朝礼や新規入場者教育で工事現場の安全上の注意点を周知し、作業員の健康状態のチェックを行います。

業者および作業員の保有資格をチェックし、法令上の要件を満たしているかを確認することも必要です。

現場管理のポイント④原価管理

いくら品質の良いものを作ったとしても、予算を大幅にオーバーしてしまっては本末転倒です。

求められる品質と仕様から適切な工事原価を把握し、下請け業者および資材問屋へ順次発注して行くのが原価管理の基本と言えるでしょう。

また、施主要望による工事中の追加や変更に対しては、適切なタイミングで変更見積を提示して双方納得の上で工事を進めることも重要です。

現場管理のポイント⑤顧客管理

工事現場では業者間のやり取りに終始しがちですが、施主の存在を決して忘れてはなりません。要所要所での進捗報告や現場案内をすると、大変喜ばれることでしょう。

施主へのアフターフォローも現場管理者の大きな役割です。工事の内容を最も把握している者として、現場管理者が引き渡し後の定期点検やメンテナンス対応をする場面も出てきます。

お客様の満足度が高ければ、リピートや紹介による受注も期待できるでしょう。

良い現場管理のポイントは?

先に挙げた現場管理の要点を押さえつつ、さらに優れた現場管理をするためのポイントをご紹介します。

仮設物の配慮

工事現場においては、最後には撤去される工事中の仮設物(足場・仮囲い・養生・仮設ハウスなど)にいかにお金を掛けられるかが重要なポイントとなります。これは、仮設物が工事の安全性や効率性に直結し、その先には施工品質の向上へとつながるためです。

仮設物の計画は現場監督の腕の見せ所でもあります。限られた予算の中から、適切な仮設計画を策定し実行することで、工事の進行をスムーズにし、作業効率を高めることができます。

さらに、仮設物は安全面や衛生面だけでなく、作業員の士気にも関わる重要な要素です。快適で安全な作業環境を整備することで、作業員のモチベーションを高め、工事の品質向上にもつながることでしょう。

適切なタイミングでの報告・連絡・相談

工事現場においては、問題点が業者からタイムリーに上がってくる環境づくりが重要です。業者が現場で発生した問題を早急に報告できる環境を整備することで、問題が大きくなる前に適切な対処をすることができます。

また、悪い情報こそ早期に把握し、対処することも重要なポイントです。問題や課題を隠ぺいするのではなく、素早く情報を共有し、適切な対策を講じることで、より効果的な問題解決が可能となります。

さらに、優れた現場管理者は施主への報告、連絡、相談を欠かさないことが求められます。施主とのコミュニケーションを密にし、工事の進捗や問題について透明性を持って報告し、施主との信頼関係を築くことが大切です。円滑なコミュニケーションを通じて、工事のスムーズな進行を図ることができます。

異業種間の調整をスムースに

さまざまな職種が同時進行で作業をする建設工事の現場においては、各専門工事間の意見調整や工程調整が重要です。

異なる専門工事が連携して作業を進めるためには、意見を調整し合い、工程を調整することが欠かせません。互いに協力し合う姿勢が、工事の品質やスケジュールの遵守を確保する上で重要な要素です。

また、元請と下請けの関係には、「元請が偉く、下請けは元請の言うことを聞かなければならない」という風潮が存在することもあります。しかし、実際には元請と下請けは役割の違いであり、互いに協力し合いながら工事を進めることが求められます。

職種間でのヒエラルキーをつくらず、互いを尊重し協力する環境づくりが工事現場の成功のカギです。異なる職種や立場の作業員が協力し合い、意見を尊重しながら問題を解決し、工事を円滑に進める環境づくりこそが、現場管理者に求められることです。

施主が安心して任せられる現場管理は工事受注の大きな武器になります

ここまで、現場管理の仕事内容と工事管理のポイントについて解説してきました。

工程管理、品質管理、安全衛生管理、原価管理、顧客管理の基本となる5つのポイントをしっかりと押さえ、工事を成功へと導きましょう。

優れた現場管理は、お客様の満足度を飛躍的に高めます。

その結果、リピート発注や紹介による新規受注も期待でき、建設会社にとって大きな武器となることでしょう。

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